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 【剣道日本連載】だからこどもが増えている!
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小曽根寺内剣友会指導責任者。41歳、六段。小曽根剣友会にて剣道を始める。井関食品(株)営業部長。大阪府剣道連盟未来構想委員会員、少年部委員。大阪府剣道道場連盟常任理事。少年剣道を考える会事務局
 



第21回

 
勝つことだけが目的じゃない!
楽しさや魅力を伝えたいから……
 

  

 木曜日と土曜日に稽古を行なっている寺内小学校の体育館にホワイトボードがつきました。これを利用して20分ほど、剣道の“授業”をしています。学科試験のことも多少視野に入れ、切り返しの効果、防具の直し方、試合のルール、物見とはどこのことを指すのか、四戒とはなにか、三つの許さぬ機会とはなにか、といったことをテーマにしました。
なるべく小さな子どもでも分かるように、難しい内容に偏らないように心がけています。たとえば、
「剣道と他のスポーツの違いってなんだと思う? 1日でお母さんたちと目を合わせて話をする時間はありますか? もしかしたら1分ぐらいかもしれません。剣道ではどう? 初めと終わりに礼をするときに目を見ますね。試合をするときは目を見て相手のことを考えます。これだけ相手の目を見るのは剣道ぐらいですよ」
といった話や、一度の稽古で礼をする回数について話をしたりしてきました。

  これは子どもたちだけでなく、いっしょにいる保護者やOBの方も聞けるようにしています。意外にも、OBの方々が用語を知らないことがあります。また、剣道を経験したことのある親からも「知らなかった」「なるほど」といった声をいただいています。

 

クラス分けの難しさ

 指導者は全体で15人ほどいますが、全員が最初から最後までそろうことはまずありません。平均すると3人から10人といったところです。しかも多くの方は仕事を終えてからかけつけて来ますから、最初から指導に間に合う人は限られます。グループ分けをして稽古をする時間を設けるにしても、1グループにひとりは指導者が必要ですが、最初の1時間近くは指導者が何人も集まることが少ないので、全体で練習を行なうようにしています。ある程度指導者がそろったところで少人数のグループ分けをし、基本稽古をするのです。最後の30分で再び“全体練習”として、先生へのかかり稽古や地稽古をするのが、オーソドックスな流れです。
ですが、先生が少しでも早く来てくれたら早く基本稽古ができます。先生の人数分だけ早くグループ分けをしてあげたほうが、子どもにとっての習熟度も上がっていきます。
この“グループ分け”にしてもさまざまな要望があり、それぞれに問題があります。
「選手コース」にいる子どもは週に6回稽古をしていますが、「育成コース」の場合は週1回から週5回とまちまちで、なかには、4〜5回来る子もいます。
もし週に2回通っているとすれば、週に6回練習している選手コースとの稽古量は3倍違います。つまり、育成コースが3年するぶんの練習を、選手コースは1年でやっていることになります。これが2年、3年と進めば、その差はさらに開いていきます。
指導する側としては、技術的な練習内容や事故のことを考えると、習熟度別にグループ分けをしたいのです。そうすると2年生の子と6年生の子が同じグループになることも発生します。
子どものほうはこれをとくに気にしていないようですが、親の反応はまちまちです。「同じときに入門したのに、なぜあの子は高学年と一緒で、うちの子は低学年の子とやらないといけないのか」と思う人もいます。もしも学年でグループを組めば、その子は自然と相手にたくさん打たれてしまう可能性が高くなります。それでも学年別を要望するのです。そのような声もありますので、習熟度別と学年別、二通りのグループ分けを、ほぼ交互に実施しています。
「選手コース」では、子どもだけではなく、家族の方々にもある程度の奉仕をお願いしています。そうして対外試合に出場することができるのです。それがイヤという場合は「育成コース」で続けていきます。ところが、育成コースにいても稽古量が多いとかなり強くなります。そうした子を抱える保護者のなかには、育成コースの子と同じ扱いを受けることをいやがる方が出てくるのです。さらには、お父さんとお母さんで方針が違っていることもあります。
保護者のなかには、人間形成的な要素を持ち帰ることを最優先している人もいれば、とにかく試合に勝つことだけを求めている親もいます。ニーズがまちまちなのです。
子どもたちの人数がたくさんであれば、全員を納得させることは難しいのが現状です。だから私は、「ものごとの3割は納得できないことがあります。それは仕方のないことと考えてください」とあらかじめ言っているのです。

  最初にお話した勉強会は、保護者の方も一緒になって聞いていただいていますが、少しでも人間形成の面での“活人剣”的な発想を知ってほしい、という願いもあるわけです。


逆ピラミッド現象が

 大阪府豊中市では、週に一回、一般の稽古会が行なわれています。そちらの光景も大きく様変わりをしてきました。
 15年ほど前は、上座に座る六・七段が数名で、五段以下の人がズラリと下座に並んでいました。しかし、年々上座に並ぶ人が増えるとともに下座の人数が減り続け、いまでは下座より上座のほうが多くなっています。稽古のほうも、以前はひとりの高段者に対して数人並んでいたのに、いまでは元立ちのほうが余ってしまっています。だから本来元に立つべき六・七段の数人が、列に並ぶようになっています。かつては段位のピラミッドは三角形を組んでいましたが、数年もすれば逆三角形になるでしょう。他の地域でも似たような現象が起こっているのではないでしょうか。
 これからは、生徒が指導者を選ぶ時代です。生徒がいるから先生が存在するのです。魅力的な指導者がいる団体や学校には、生徒が集まります。これからは、生徒が「こういうところで剣道がしたい」という要望に、大人や団体が応えていく時代だと思います。“勝つ”ことだけでは、そうした要望には応えきれないと、私は考えています。

 

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