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 【剣道日本連載】だからこどもが増えている!
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小曽根寺内剣友会指導責任者。41歳、六段。小曽根剣友会にて剣道を始める。井関食品(株)営業部長。大阪府剣道連盟未来構想委員会員、少年部委員。大阪府剣道道場連盟常任理事。少年剣道を考える会事務局
 



第20回

 
たくさんの指導者のために
「研究会」を実施
 

  小曽根剣友会を創設した出水哲朗先生が指導をしていたころは、多くの子どもたちを2〜3人で指導していました。それだけの指導力を、先生ご自身が持っていたからです。しかし、出水先生から私たちが指導を引き継いでからは、なるべく多くの方に“先生”になってもらうことにしています。常時子どもたちは100人近くが来るのですが、数人にひとりの指導者がついていてほしいと考えています。いまでは、15人ほどの方に“先生”になってもらっています。
 しかし、複数の指導者をつくって数年ほどしてから「たまには先生同士の指導の仕方を調整しなければいけない」と思うようになりました。たとえば、私たちの会では、面手ぬぐいを帽子のようにして着けることを認めているのですが、ある先生が「なぜそんな着け方をしている!」と急に怒り出したら、子どもがかわいそうです。
 そこで、会では年に1回、指導者を集めて「指導研究会」を実施しています。「研究会」とあるように、これは一方的に伝達をする場ではありません。「こういうことを考えて教えているのですが、ほかの先生方はいかがですか」というスタンスです。ただし、私は現在、大阪府剣道連盟や大阪府剣道道場連盟で役員を務めていますので、そうしたところから得た新しい情報を伝えるという目的もあります。
 剣道の教えのなかには、どちらがいいのか、微妙な部分で判断に戸惑うことがたくさんあります。手ぬぐいの着け方にしても、手ぬぐいにある文字を見てからそのまま着ける人もいれば、面を着けたときに後頭部に文字が正しく見えるよう、持つところを替えてから着ける人もいます。素振りの仕方にしても、振り上げたときには足を動かさずに竹刀を振り下ろすときに「右→左」と足を動かす方法と、振り上げたときに右足を前に出して振り 下ろしたときに左足を寄せる場合とが考えられます。また、面の乳革の位置は頭の上と横と2種類ありますが、どちらがいいのか、と質問されるときもあります。

 基本的に、私たちの会ではいろいろなやり方を認めています。まずは違いがあるということを子どもたちに伝え、あとは自由に教えてほしい、と先生に伝えています。さまざまな方法を知っていること自体が、学ぶ側にとっては財産だと思いますし、「これでなければいけない」という文言は剣道連盟の指導にもありません。もちろん、地域性や組織、師匠によってそれぞれの方法に至ったことは間違いありませんが、子どもたちに対して“押しつけ”は絶対にできないと考えています。ただし、ある程度の統一見解を出す部分もあります。面を打ったとき、以前は左手をみぞおちの前としていましたが、いまは胸の高さとしています。

 1年の間に新しく知ったこともたくさんありますので、それは新たにつけ加えていきます。ただし、以前教えていた内容そのものが間違っていた、ということはありません。基本的には八段の先生に教えてもらっていることですので。
「私はこう教えているが、他の先生は違う」ということがあれば、この場で話し合いをしています。あくまで子どものために、子どもが迷わないように調整をする会です。
 なによりも子どもたちが剣道を通していろいろなことを楽みながら学んでもらいたいので、そのための指導をしてほしいと思っています。面倒見の良さ、わかりやすさ、子どもたちが楽しいと思える指導、厳しさのなかにも達成感を持てるような指導を目指しているのです。基本的には、保育士の延長といった感覚を求めています。
 以前からお話をしているように、会は対外試合で上位を目指す「選手コース」と、剣道を楽しく続けて昇段することを目標とする「育成コース」の二つに分かれています。今回紹介している「研究会」は、育成コースにいる子どもたちの指導をしていただくことを目指しています。「育成コース」が充実し、そのなかの何パーセントかの子どもたちが選手コースに興味を持つ。これが会の基本的なスタンスです。

「第18回」の記事で、ケガや事故防止のために心がけていることを書きましたが、そうしたことを指導者に知ってもらうために「安全講習会」というものも随時開いています。

“保護者に見せる”指導も

 指導では「保護者の方に見せる」ことも意識をしていますが、低学年ではとくにこの傾向を強くしています。ですので、保護者が固まって座っているところの前に、あえて低学年のグループを配置しています。そして、
「先生はこういうことをやってと言いましたが、できた人!」
「は〜い」
 というやりとりがあれば、「できたんだ」と確認ができます。さらに、
「そうしたら、家に帰ったら早素振り200回練習してくれるかな。がんばってくれる人!」
「は〜い」
「じゃあ帰ったらお母さんと一緒に200回やってくださいね」
「は〜い」
 こうなると保護者の方はこれから何をするべきかがはっきり分かります。低学年の子どもであればあるほど、その後ろにいる保護者の方に向かって言うことを意識するのです。練習はひと月10回であっても、残りの20日間早素振りをしていたら、ほとんどの人は上手になります。
 これは実際にあったことですが、
「先生は200回、と言いましたけど、今日来てびっくりしました。◎◎君はなんと500回もやったと言っています!」
 こういえばほとんどの子どもは「え〜」と歓声をあげますし、「ぼくも500回やってやるぞ!」と思う子も出てくるでしょう。このやりとりを保護者の方も聞いていれば、
「200回でいいの? 500回やらないといけないんじゃないの?」
 とお子さんに問いかけるでしょう。こうして競争心をかき立たせる、という効果も出てくるのです。
 保護者の方が来なかったから不利益になる、という状況はけっしてつくりませんし、来てください、とも言いません。ただ、来ているほうが、子どもが上達するきっかけにはなります。大人の方も聞いていれば、ものごとの「確認」ができますので、子どもたちもほとんどのことを理解して次の練習に来てくれます。おまけに素振りまでしてくれるのです。保護者は「見たいから行っている」、そういうかたちに持っていきたいと思っています。

 

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