剣道日本WEB
 スキージャーナルトップ剣道日本WEB剣道日本連載【だからこどもが増えている!】
 【剣道日本連載】だからこどもが増えている!
トップ画像

 
小曽根寺内剣友会指導責任者。41歳、六段。小曽根剣友会にて剣道を始める。井関食品(株)営業部長。大阪府剣道連盟未来構想委員会員、少年部委員。大阪府剣道道場連盟常任理事。少年剣道を考える会事務局
 



第18回

 
事故防止のために
指導者が心がけたいこと
 

  スポーツの世界では、「事故」「お金」「スキャンダル」の3つが、その団体をつぶす要因になる、と言われています。私たちは少年を育成する団体です。子どもたちを度外視していずれかにつながるような行動がないよう、保護者の方にはつねに言っているつもりです。
 事故、というのは私たち大人の心がけで充分未然に防ぐことができると思います。もっとも気にしておかなければならないのは、熱中症です。汗をかいたら熱中症になる可能性があります。すべてのスポーツに言えることですが、汗をかくために来ているのですから、最初から熱中症に意識を払うのは当たり前のことです。
 剣道は室内競技ですが、まったく屋外競技と変わらない危険性がある、と考えるべきです。屋外は日中は暑いでしょうが風通しはつねに利いています。少年剣道は夜間に活動することが多くても、風通しの悪い体育館で稽古をすることが多いでしょう。危険性は同等と考えるべきです。真夏だけでなく、湿度の高い梅雨時期も充分注意し、指導者はこまめに管理しておくべきです。

 文部科学省では、管理者責任として30分に一度の水分補給をするように指導しています。私たちの会でも練習前に必ず水分補給をし、さらには30分経ったら一度面をはずして水分補給をしています。これは会の稽古だけでなく、ひと月に一回交流の意味も含めて実施している「ひびき」というイベントでも必ずやっています。ただし、「水」だけだと後で体から出ていってしまいますし、汗というのは、塩分とともに出てしまいますので、本来は塩分も補給する必要があります。
 そうは言っても塩分に過敏になることもないと思います。普段の食生活を通じて塩分はある程度取っているわけですし、一般的には水分中に0・2%の塩分が入っていれば充分補給できていますので。私たちの会でも、子どもたちの多くはスポーツドリンクやミネラル成分の入った麦茶を水筒に入れて持参しています。

 熱中症対策のひとつとして、業務用の大型扇風機を4台購入して、普段稽古している小学校に寄贈しました。「他のスポーツ団体が使っても構わないので、その代わりに扇風機は学校に常置させてください」と言って、学校に置いてもらっています。ここで注意したのが、扇風機に安全カバーとしてネットを取り付けたことです。学校の子どもたちがうっかり作動させたとしても思わぬケガをしないためです。寄贈とはいえ、他の人にケガをさせてしまっては好意も無為になってしまいます。

転がす稽古自体が
減っているけれど

 剣道で他に考えられるケガは、竹刀の破損によるものと、足裏のケガが考えられます。
竹刀は、まず自宅で点検をしてから来るように言っていますが、練習前にももう一度点検させます。そして稽古の途中でも点検をします。大切なことは、「おかしい」と思ったときだけでなく、おかしいかどうか分からないときでも必ず指導者に見せることです。異変のある竹刀を使えば、思わぬ事故につながるからです。竹刀になにかあっても稽古ができるよう、必ず二本以上はきれいな竹刀を持って来るように指導しています。
毎回80名以上が稽古をしている会ですから、一人か二人は途中で竹刀を取り替えることはあります。二本とも使えなくなるという事態はほとんど起こりませんが、もしそうなったときのために、会ではレンタル用の竹刀も用意しています。

足裏のケガの原因は、爪と床の二つが考えられます。ですから、まずは各自で爪の管理は徹底させます。それと、練習前のモップがけは役員の方にお願いしています。その前にどういう団体がなにをしていたか分かりません。裸足でやる競技ですから、床の掃除は当然やっておくべきことです。モップがけは練習後も当然行ないます。
これは以前も書きましたが、稽古中にはあまり体格の違う子ども同士で稽古をしないことも事故防止のひとつです。中学生のそばに園児がいれば、思わぬ事故が考えられます。
ケガのことを考え、スポーツ保険はどこでも加入していると思います。大阪府では剣道連盟が窓口になっていますので、その保険に加入しています。そのほか、メインの指導者10名程度には、損害賠償保険にも加入してもらいます。現在はそれほど保険料もかかりません。

私の聞いた範囲では、保険を実際に使用する機会は、全種目のなかでも相当低く、保険料もかなり安いところにランク付けされているようです。危険度の高い競技はそれだけ掛け金も高くなっていると思います。
稽古や試合で転倒することも少なくないでしょうが、防具を着けていることも大きなケガの防止になっています。ただし、後頭部や背面には防具がありませんから、後ろに倒れるようなことのないように注意しています。
ですが、いまは子どもを転がすような稽古自体が相当少なくなったように思います。この10年で一気に減った気がします。体力的に厳しい稽古はなくなりませんが、転がすような稽古が望まれている時代ではないのです。かつては「なんでもしてください」と言う親もいましたが、いまはそういう要望がありません。
情熱よりも安全、というのが現代の傾向なのかもしれませんが、転がす、ということには相応の責任も伴います。ですから、責任感のあまりない方がむやみに転がすことには、子どもの思わぬケガにつながりかねません。

学校自体が体罰をすれば罰せられますから、学校教育の変化と連動せざるを得ない部分は、剣道にもあります。また、“しごき”と“暴力”は背中合わせの関係です。愛情を持って鍛えることは“しごき”、憎しみを持って行なうことは“暴力”ですが、これは当事者には分かることであっても第三者から見ればどちらなのか区別がつきません。

  悪いことしたら悪い場所を叩くということに重きが置かれていた時代から、「怒るな、誉めよ」という時代になっています。そんななかでも、私たちの会では「選手コース」に限って、誉めることより怒ることが多くなっています。保護者の方にもそうした価値観を共有していただいていますし、希望する者だけを選手コースにしていますので、“情熱優先”で指導にあたっているのです。



 

 |剣道日本WEBトップ | 行事予定 | 大会フォーラム | 商品案内 | 全国道場案内 | 剣道の知識メントレQ&A | 武道具店ガイド
| 剣道場のある宿ガイド| 剣道関連リンク集 | 剣道レッスン| 居合道のページ | 読者投稿のページ |
 
 スキージャーナルトップ | 年間定期購読について | お問い合わせ
ページTOP
(C)SKI journal Publisher Inc. All rights reserved.